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著作権法第12条の編集著作物に思う

 著作権法第12条第1項は、
 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは著作物として保護する、と規定しています。

 ここで、著作権法が規定する著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものです(著作権法第2条第1項第1号)。これら著作権法の第2条と第12条との両条項を見るとき、第12条の「創作性を有する」と、第2条の「創作的に表現」とに目を奪われます。「創作」という表現に共通点を見出すからです。

 2つの条項の「創作」中、第2条の「創作」は“創作的に表現”という点から、表現の創作性を意味するとの理解が生まれます。それに対し、12条の「創作」は“~によって創作性”といことから、編集物としての新しさを意味する、と理解されます。同じ「創作」という表現が、2つの条項の中で異なる意味に用いられているようです。これも、著作権法の理解を難しくしている、と思います。

 特許に親しむ小生にとって、第12条の「素材の選択又は配列によって創作性を有するもの」という表現に興味を覚えます。“素材の選択”又は“素材の配列”によって、編集物としての創作性を生み出す点は、特許における発明と対応することができるからです。すなわち、著作物である編集物(発明)は、“素材の選択”又は“素材の配列”(技術的事項である構成要素の集り)によって、保護されるべき創作性(技術的特徴)を生み出す、と両者を対比することができます。

 著作権法は、編集物の創作性を生み出す要因あるいは要素として、“選択”と“配列”を挙げているだけです。しかし、編集物に対して創作性を生み出す要因としては、それら以外に“編集方針あるいは編集のネライ”があるのではないか、という疑問があります。それは、特許における発明に対して、技術的事項である構成要素のほかに、発明の目的やネライがあるのではないか、という疑問と共通します。

 特許における発明では、発明を適切に理解する上で、発明の課題やネライを必然的に考慮します。その発明の課題やネライを抜きにしては、保護すべき発明の内容を正しく理解することができません。それと同様に、保護すべき編集物の内容について、“選択”と“配列”を考慮するだけでは正しい理解を生むことができません。正しい理解のために、編集物の“編集方針あるいは編集のネライ”を考慮することが必須です。とすれば、“編集方針あるいは編集のネライ”は、“選択”と“配列”と並置されるべき事項です。

 小生は、保護を求める発明を特定する上で、発明のネライは必須の事項である、と考えています。同様に、著作権法第12条を前にして、編集著作物の内容を明らかにするために、“選択”、“配列”だけでなく“編集方針あるいは編集のネライ”を加えるべきである、との思いを抱いています。

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