知財実務研究

中小企業の知財を再び考える

 下記の二つの図は、特許行政年次報告書2018年版(いわゆる、特許庁年報2018)からの各抜粋です。

 前の図は、都道府県別の中小企業数に対する特許出願中小企業数の割合を示します。この図から、東京は、大阪や神奈川などに比べて、特許出願に熱心な中小企業が多いことを知ります。
 一方、後の図は、都道府県別のINPIT知財総合支援窓口支援件数を示します。この後の図からは、支援件数の点で、東京は、大阪や神奈川などに劣っていることが分かります。
 そこで、小生は、特許出願に対して熱心な東京が、支援件数の点で何ゆえに他県より消極的なのだろうか、という疑問を持ちました。この疑問の背景には、「窓口支援」という支援業務は、INPITあるいは特許庁関係のみなのだろう、という(誤った)先入観念がありました。

 この疑問が、本日の支援業務を通して解決しました。結果的には、小生の知識不足でした。支援業務の関係者の方から、「東京には、INPITによる知財関係の支援業務のほか、東京都知的財産総合センター(公益財団法人 東京都中小企業振興公社)による支援業務がある」ことを教えていただきました。そのセンターによる支援業務は、INPITによるそれと同様の規模の業務のようです。したがって、東京には、INPITによる支援数の少なくとも2倍ほどの支援件数(すなわち、約6500ほどの支援件数)があるようです。とすれば、その東京の支援件数は、(INPIT以外の大きな支援業務がない)大阪や神奈川などの支援件数をも越えていることになり、結果的に、前の図と同様の傾向を見出すことができます。

 このように、私たちには、知らない情報があり、その知らないことに起因して誤った結論を導き出すおそれがあります。特許を代表とした知財の情報には、理解しにくいものや、いわゆる風評的なものもないとはいえません。そのため、各情報については、充分に検討し、考え抜くことにより、知財専門家として納得のゆく理解をすることが大事ではないでしょうか。

 

 

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