知財実務研究

技術分野の関連性

 11月29日に、「企業関係者と弁理士の知財研究会」の第2回の集りがありました。今回は、小生の小論「進歩性関連の裁判例から学ぶ」(パテント2012, Vol.65 No.8)がテキストとなり、数点について意見交換がなされました。

 その一つとして、進歩性(容易想到性)の判断における「技術分野の関連性」がありました。この1.「技術分野の関連性」は、2.「課題の共通性」、3.「作用、機能の共通性」、4.「引用発明の内容中の示唆」とともに、主引用発明に副引用発明を適用する動機付けがあるといえるか否かを判断する要素になっています。

 かつての同一技術分野論によれば、主引用例発明と副引用例発明とが同一の技術分野に属するとすれば、(それだけで)進歩性(容易想到性)が否定されるという判断がなされました。しかし、その同一技術分野論は、現時点では“終焉”を迎えているようです。同一技術分野論の“終焉”とは、進歩性(容易想到性)の判断において、同一技術分野論の論理が適用されなくなったということです。

 現時点の審査基準の記載を見ると、「動機付けの有無は、1.~4.までの動機付けとなり得る観点を総合考慮して判断される。審査官は、いずれか一つの観点に着目すれば、動機付けがあるといえるか否かを常に判断できるわけではないことに留意しなければならない。」、そして、『「技術分野の関連性」については、他の動機付けとなり得る観点を併せて考慮しなければならない。』と明記されています。

 このように判断基準は、流動的です。私たち、特許実務家は、流動による変化の内容をキャッチするとともに、その変化がなぜ生じたかの理由を自分なりに理解することが大事だと思います。進歩性(容易想到性)の根拠条文は、大変短いです。その短い規定の文言との関係から、変化の理由を考えることが必要です。

 その点、上に述べた第2回の知財研究会の中で、同一技術分野論が、特許法第29条第2項のどこから生まれているか?が問題となりました。その問題に対し、条文の具体的な文言とのつながりに基づいて明確に答えることは意外と難しいことでした。特許実務家は、根拠条文に戻って考え、実務的な観点から条文の意味を再考したいものです。

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