知財実務研究

出願公開の請求に思う

特許の場合、出願日から起算して、1年6月(18月)経過して、だいたい2週間以内に出願公開がされます。具体的には公開特許公報が発行され、発明者や出願人、そして発明の内容が公開されます。

かもめの便りでも紹介しましたが、特許には「出願公開の請求」という制度があります。

出願公開の請求について

特許庁HPの「公報に関して」のQ&Aを見ますと、出願公開の請求を行った場合、通常であれば、
・出願と同時であれば約5ヶ月程度
・出願の方式審査が完了し、特許分類の付与がなされている段階であれば、約2ヶ月ないし3ヶ月程度
で公開特許公報が発行されるとあります。

また、出願公開請求には他の要件として、請求は出願人全員で行わなければならないというものがあります。これは特許法第14条でも明記されているところです。

そして、出願公開の請求は取下げることができません(特許法第64条の2第2項)。この点、特許法逐条解説では以下のように説明されています。

出願公開の請求があった場合には、すぐに公報発行準備に入ることとなるが、公報発行準備が終了した後には、出願公開の請求を取り下げたとしても、公開公報の発行を止めることが間に合わないため、公開公報が発行されてしまう事態が生じるおそれがあることから、出願公開の請求は取り下げることができないこととした。(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第20版〕)

この「公報発行準備」というのが気になります。取り下げの時期にもよるのでしょうが、請求をしてから発行までに数ヶ月かかるものの準備を止めることが間に合わないとは奇妙です。請求をしてすぐの取下げも、公開前日の取下げも、同様の取り扱いとなっています。同様の問題として、例えば商標の場合、出願後約2月くらいで公開公報が発行されます。公報発行準備に取りかかるのは出願をしてすぐなので、商標の場合は出願後すぐに取下げても公開公報は発行されてしまいます。

特許でも商標でも請求や出願をした後に公開を避けたいという要望は少なからずあると思います。かもめ特許事務所でもそのような出願人からの要望をいただくこともあります。特許法に様々な救済規定がある中で、早期公開請求を取りやめたいとする救済措置も必要であると感じます。また、特許の公開の意味と、商標の公開の意味は異なっている部分が多いと思いますが、この辺りの運用が同一の取り扱いであることにも疑問を覚えます。

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荒井 滋人
荒井 滋人

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