知財実務研究

発明の把握を考える-その1

 2014年に携わった弁理士向けの研修のテーマとして、「発明の把握を考える」というものがありました。「発明の把握」は、技術的判断に通じるものであり、知財専門家の実力が発揮される主要な場であります。その研修のテキスト内容の一部を下に抜き出します。

 「かつての発明の把握は、発明を内容的にうまくまとめる、あるいは整理する、ずばり言うなれば、「うまく」表現することでありました。「うまく」とは、発明を内容的にできるだけ広く捉えること、そして、表現が適切であることをいいます。そのような「うまく」は、今でも基本的には好まれています。
 しかし、発明の把握を依頼する側は、今や、「うまく」まとめた内容では必ずしも満足せずに、把握する中味に、付加的なプラスの内容を求めます。プラスの内容は、発明者からの直接の情報にはなく、把握する過程で新たに生まれたものです。すなわち、今や、発明の把握には、新たな創造が求められています。
 新たな創造は、新しい把握がもたらす必然的なモノではありますが、納得できるような創造を生み出すことは実際のところ困難です。そうであるため、その困難に打ち勝ち、新たな創造を生み、それによる喜びを得る、という目標をもって進みたいものです。」

 このような趣旨に沿って、実際の研修では、二つの実例として、原木皮はぎ機事件の中の発明と、人口乳首事件の中の発明を取り上げました。前者の事件は均等論の適用、後者の事件は優先権の活用をする上で、考えさせられます。両者は、また、発明の把握の大切さを考えさせる事件でもあります。これら事件の発明とは別の発明を取り上げ、今一度、発明の把握を具体的に検討したい、と思います。なぜなら、発明の把握は、発明者による第1の創作である発明とは別の、第2の創作を生み出すものであるからです。取り上げる題材としては、このHPのかもめの便りにある「発明の秘訣」の中から選択する予定です。

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